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イラク


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イラクとハビタット

イラク概要

イラクの子供たち-バグダッドにて撮影イラクの子供たち-バグダッドにて撮影

戦争終結、政治主権委譲後もイラク国内では予断を許さない厳しい治安状況が続いている。国連の活動は、 2003年8月に発生したバグダッド本部爆破事件以来、イラク国籍の職員を除く国際職員は国外への撤退を余儀なくされ、復興支援活動は大幅に制限されたままである。しかし、そのような状況下にあっても、国連ハビタットの手掛ける小学校・中学校・住宅等の修復・再建事業は、日本政府の支援の下、着実に進んでおり、多くの地元建設業者やイラク人労働者がこれらの修復事業に携わっている。治安上の理由から、それぞれの具体的な場所や、作業を指揮するイラク人ハビタット職員の姿はまだ明らかにすることはできないが、この「イラクとハビタット」のページでは、現在進行中の復興事業を逐次、多数紹介している。また、国連ハビタットの持つ再建技術のノウハウは、過去7年に及ぶ人道支援プログラムの経験と知識の蓄積に拠るところが大きい。これまでの実績等も紹介しながら、イラクにおける国連ハビタットの取り組みを紹介したい。 戦争終結、政治主権委譲後もイラク国内では予断を許さない厳しい治安状況が続いている。国連の活動は、 2003年8月に発生したバグダッド本部爆破事件以来、イラク国籍の職員を除く国際職員は国外への撤退を余儀なくされ、復興支援活動は大幅に制限されたままである。しかし、そのような状況下にあっても、国連ハビタットの手掛ける小学校・中学校・住宅等の修復・再建事業は、日本政府の支援の下、着実に進んでおり、多くの地元建設業者やイラク人労働者がこれらの修復事業に携わっている。治安上の理由から、それぞれの具体的な場所や、作業を指揮するイラク人ハビタット職員の姿はまだ明らかにすることはできないが、この「イラクとハビタット」のページでは、現在進行中の復興事業を逐次、多数紹介している。また、国連ハビタットの持つ再建技術のノウハウは、過去7年に及ぶ人道支援プログラムの経験と知識の蓄積に拠るところが大きい。これまでの実績等も紹介しながら、イラクにおける国連ハビタットの取り組みを紹介したい。

現在の復興事業の背景

過去2度の戦争とその後の略奪、またフセイン政権下における西側諸国からの経済制裁のため、イラク国内の教育施設は、幼稚園・小中学校から専門学校・大学等の高等教育施設にいたるまで、甚大な被害を受け、多くの学校では現在も授業を再開することが極めて難しい状況にある。2003年秋に国連と世銀が共同で行ったアセスメント調査によると、国内約13,000ある小中学校のうち、約80%が緊急修復を必要としている。国連ハビタットがイラク南部の都市(サマーワ、バスラ、ナシリア、アマラ)において独自に実施した調査の結果からも、500を超える学校が特に甚大な被害を受けており、早急な緊急修復により、一日も早い授業の再開が切望されている。
市民生活も同様に多大な被害を被った。経済制裁によって国内経済が逼迫したイラクでは、特に貧困層を中心に住宅、電気、上下水道などの生活インフラが極度に老朽化・劣化している。前述の共同アセスメント調査によると、現在280万戸と推計される住宅ストックのうち、約35%が電気・水道などの基本的な供給施設を保有していない。
2003年10月、共同アセスメントの結果に基づいたイラクの復興計画が策定された。この復興計画は、国連ハビタットを含む各国連機関が緊急介在の優先順位や分野を取り纏め、共同アセスメントの結果に基づき、支援国、支援機関、イラク政府および地方自治体の要請と協力の下で人道支援や再建・開発支援を行うものである。複数の国連機関が単独で活動することによる資源や事業の重複を避け、分野ごとに整理する目的で、共同で策定されている。これは国連戦略計画と呼ばれ、その11ある支援分野*のうち、国連ハビタットは6分野、①教育と文化、②水と衛生、③インフラと住宅、④国内避難民と難民、⑤ガバナンスと市民社会、⑥貧困削減と人間開発の6分野に参画している。
以上をふまえ、国連ハビタットでは、復興事業の第1弾として、日本政府支援の下、「学校再建事業」および「コミュニティ再建事業」を実施する運びとなった。

* 国連戦略計画(UN Strategic Plan)の取り纏めた支援10分野は、①教育と文化、②保健、③水と衛生、④インフラと住宅、⑤農業、水資源と環境、⑥食料の確保、⑦地雷、⑧国内避難民と難民、⑨ガバナンスと市民社会、⑩貧困削減と人間開発、⑪選挙支援、である。

* 2005年8月現在、11分野は7分野に集約され、国連ハビタットはそのうち5番目の分野である「インフラの再建に参画している。

再建事業の概要

再建中のアル・クルファ中学校(サマワ)再建中のアル・クルファ中学校
(サマワ)

● 国連ハビタットは、2004年1月、日本政府の合計8.8百万ドルの緊急支援を受けて、「学校再建事業」および「コミュニティ再建事業」を開始した。

「学校再建事業」は、イラク南部の4都市(サマーワ、バスラ、ナシリア、アマラ)において200校の幼稚園・小中学校の初等教育施設を再建し、2006年4月に完了した。外装、電気工事、水・衛生施設、机と椅子等の家具を整備・配置し、特に被害が大きく緊急性の高い学校を中心に修復を行った。

「コミュニティ再建事業」は、3都市(サマーワ、バグダッド、キルクーク)における生活弱者、特に戦争で夫を失った未亡人世帯や貧困層のための住宅の緊急補修を行っている。特に老朽化の激しい水周りや衛生設備を中心に、集合住宅や一般住宅の補修を行っている。

● 上記2つの再建事業に加えて、2004年8月にはイラク復興信託基金を通じた日本政府支援事業として、「教育施設再建事業」(技術大学および技術系専門学校を中心とした再建事業)に対する17.4百万ドルの支援を受け、順調に事業を進めている。すでにサマーワ女子教員養成学校、バスラ技術大学等の高等教育施設4校の再建完了している。また、2005年9月には生活インフラ設備再建およびコミュニティ再建事業について、16.0百万ドルの支援を受け、ゴミ処理施設や下水処理施設、孤児院や住宅などの再建を行っている。

さらに、2006年8月より、陸上自衛隊よりサマーワにおける学校・医療施設などの復興支援事業を引き継ぎ、現在準備作業をすすめている。

事業の進捗状況-学校再建事業

完成したアボ・アラ中学校の概観(サマワ)完成したアボ・アラ中学校の概観
手すりが破損し、危険な状態のアボ・アラ中学校手すりが破損し、危険な状態の
アボ・アラ中学校(サマワ)

● 本事業では、サマーワ、バスラ、ナシリアの南部3都市において合計200校の幼稚園・小学校・中学校の再建を行った。2004年1月に始まった事業は、おおむね順調に遂行し、2006年4月には再建が完了した。

南部地域では、戦争被害に加え、旧政権時代からインフラや公共施設の整備が行き届かないまちが多かった。学校も例外ではなく、施設の老朽化や劣化によって多くの教室が使用不可能あるいは危険な状態にあった。屋根、教室や廊下の壁、天井、洗面所など破損箇所を完全修復し、新たに塗装を施し、外壁などの再建を行った。

再建中は、近隣の学校施設を間借りし、昼夜2部制で学校を運営するなど、学生は不便な環境下での通学を余儀なくされたが、現在では授業も再開され、また学校に通う児童も増え、安全に整備された校庭では子ども達の元気な声が響いている。

● 国連ハビタットでは、できる限り多くのイラク人の雇用機会を創出するため、地元の建設業者、資材業者に依頼し事業を行っている。業者は国連ハビタットの定める基準(重機等の設備、人員、財務状況、過去の実績等)を満たした業者の中から公開入札によって決定し、なるべく多くの業者、労働者に業務の機会を付与するため、1社1校を目標に工事の割り当てを行った。例えばサマーワの学校の再建であれば、サマーワの建設会社によって、サマーワの労働力を雇用して工事を行う仕組みであり、これによって市民の雇用を確保するほか、建設会社の技術力・競争力の強化に貢献している。

事業の進捗状況-住宅再建事業

バグダッド市アル・マグリブ地区。老朽化した扉の修復中の様子。バグダッド市アル・マグリブ地区。
老朽化した扉の修復中の様子。

● サマーワにおける住宅再建の状況 最新情報
2006年7月現在:再建対象として300戸を有する市内のイスカン集合住宅を選定し、5つのブロックに分けて工事をすすめた。現在、全ての工事が終了し、最終点検を行っている。

● バグダッドにおける住宅の状況 最新情報
2006年7月現在:バグダッド旧市街の貧困地区を中心に、夫を戦争で失った世帯や、度々爆撃を受け危険な状態の住まいなどを優先的に再建している。これらの住まいは平均して約50㎡の広さであるが、一世帯でも5-7人、また特にバグダッドでは戦争で住まいや主を失った家族が身を寄せ合って生活していることも多く、実際には10-12人の人が生活していることが多い。すでに388戸が完了し、約4,000人が安全な生活を取り戻している。
また、キルクークでも600戸の住宅が再建工事中である。

これまでの国連ハビタットのイラクにおける活動

この度の復興支援事業以前にも、国連ハビタットはイラクにおける人道支援活動を行っている。フセイン政権時の経済制裁下ではイラク市民のための人道支援プログラムを実施し、1997年からプログラムが終了した2003年までの間に、約21,000戸の住宅、 695の学校、130の病院、51の市民センターを建設した。また2800㌔の道路と橋、560㌔長に及ぶ上下水道を整備し、これらのプログラムを通じて約15万人のイラク人の雇用を創出した。
特にイラク北部では、当時政権下で抑圧されたクルド人を含む国内避難民が約80万人おり、その流入により都市部が急速にスラム化していた。国連ハビタットは国内避難民および弱者層の居住状態を改善し、都市を復興するための計画を策定、約600名のハビタット職員が従事した。また、イラク中部および南部においても多数の住宅供給事業を行い、そこで集積されたデータおよび建設技術等のノウハウが、現在行われている学校再建事業や住宅再建事業において有効に活用されている。

日本政府支援事業以外のイラクにおけるその他の活動

前述の人道支援プログラムは、2003年のイラク戦争終結後、国連から暫定当局(当時)に移管されたが、一部継続事業として北部における支援活動を続けている。また、イラク南部においても戦争によって国内難民化したイラク人の再定住プロジェクトや、安全な水や衛生施設を供給する事業を行っている。
イラクの暫定新政権においては、計画省、住宅省等国連ハビタットの関係省庁および地方自治体関係当局との連絡・調整を行い、担当局長等を対象とした地理情報システムのトレーニング等も実施している。


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