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モンゴル


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「ゲル地区生活環境改善計画」事業が住民にもたらした変化

2011年1月

国連ハビタット コンサルタント 轟由紀

国連ハビタットは、モンゴルの首都ウランバートル市にて、「ゲル地区生活環境改善計画」事業(日本政府の資金供与)を実施しています。前回の記事では、コミュニティーが主体となって、「ゲル地区での住環境をいかに改善するか」という計画づくりの様子をお伝えしました。あれから半年が経ち、2011年1月に極寒(マイナス20~30度)のモンゴルに再び赴きました。計画されたインフラの一部は、すでに住民の手により完成していました。今回は、住民の声を通じて、事業が人々にどのような変化をもたらしたかを紹介します。

「工事を通じて、住民が一体化」
ガンテュルガさん(コミュニティー・リーダー)

画像 / 歩道の建設工事歩道の建設工事。冬の長いモンゴルでは、工事は10月半ばまでしか行えない。

私たちのコミュニティーでは、事業の資金を使って、道路の脇に歩道を作ることにしました。ゲル地区の道路はでこぼこで車がまっすぐ進まず、歩行者にとって危険だからです。全体で420mを計画していますが、昨夏は200mまで完成することができました。4月になって氷が溶けたら、また工事を再開します。
私たちは国連ハビタットの指導のもと、お金の管理、建材の調達、工事など、事業実施を任されました。こんな風に一貫して工事の責任を持つことは初めてでしたから、最初は戸惑いもありました。一番難しかったのは人間関係。ゲル地区の住民は、かつては草原で放牧していましたから、独立心が強いといいますか、ゲル地区に移住しても隣近所で何か共同作業をしようということはなかったんです。ですから、コミュニティーのメンバーは隣に住む人さえ知らず、事業の当初はお互いに誤解やいさかいもありました。でも、工事を通じて、私たちの絆は深まり、今では協力し合う仲になりました。私たちのコミュニティーでは、子どものエッセイ・コンテストを企画中です。タイトルは、「みんなに住みやすいまち」。住環境を向上したいという気持ちを、子どもたちにも持ってほしいと願っています。

「最も深刻な課題を解決」
ガンバータルさん(地区リーダー)

画像 / 給水所住民により建設された給水所に、水を汲みにくる人々。

私はバヤンゴシュ地区で、10のコミュニティー組織を束ねる地区リーダーをしています。バヤンゴシュ地区で最も深刻な課題が飲料水の不足でした。この事業で給水所が建設されたことで、他の給水所の断水時も水が飲めるようになりました。次に重要なのが、街灯です。この地区では、市が整備する大通り以外は街灯がなく、子どもたちは真っ暗な中を通学しなければなりませんでした。それに、強盗や女性への暴行事件も絶えなかったんです。今では、地区全体で120の街灯を建設することができました。設置場所は個人の家の敷地です。住民間でどの場所に設置するのが一番よいかを話し合い、隣近所5世帯くらいで、電気料金を負担しています。最初は、住民の間で料金負担の理解を得るのが難しかったのですが、一軒一軒廻って説得しました。今では暗くなる午後5時には、住民たちが一斉に街灯をつけ、人々は安心して外を歩くことができるようになりました。

画像 / 設置された街灯北緯48度に位置するウランバートルの冬の日の出は午前8時半。かつて、子どもたちは真っ暗な中を通学していた。

本事業では、全体で47のコミュニティーがそれぞれ小規模インフラを建設予定です。そのうち、20のインフラが既に着工または完成しており、残りは長い冬が終わり次第工事を開始します。また、事業地域全体で723の貯蓄貸付グループが形成され、インフラ建設以外の活動を通じても、住民間の協力関係が強まりつつあります。


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