犯罪防止・軽減と安全な環境の提供は、都市生活に必要な基礎的要素であり、持続可能な社会経済開発の重要な要素でもある。安全都市づくりプログラムでは、犯罪の原因に対処する犯罪防止戦略を通して、都市の治安を改善するため都市レベルの能力開発を行う。また、都市の協力機関や関係者の参加を促すことにより、地方自治体の取組みを支援する。アジアの都市における都市犯罪の増加と多様化によって都市化の利益が損なわれる恐れが出てきていることを受け、国際連合人間居住計画(ハビタット)アジア太平洋事務所(福岡)は、2003年、「安全な都市」プログラムの支援と開発に特に力を入れた。
事例
福岡事務所は11月にダーバンで開催された「安全な都市」に関する会議「持続可能な安全:岐路に立つ自治体」へのアジア太平洋地域からの代表の参加を支援した。この国際会議では、「安全な都市」のビジョンに対する理解を深め、「持続可能な安全」のコンセプトを戦略的な都市計画における必要不可欠な要素として根付かせるための幅広い知識や意見が発表された。
地域レベルでは、バングラデシュ、インドネシア、フィリピン、太平洋諸島をカバーするプログラム「アジアのための安全な都市」の第1期計画を策定した。このプログラムは都市レベルの安全の強化と犯罪削減に焦点を当てている。2004年にフォローアップとさらなる開発を行うため、資金援助機関との初期段階の協議を行った。
都市レベルでは、引き続きパプアニューギニアのポートモレスビーにおける安全都市づくりプログラムへの技術協力と調査団派遣を行い、またバングラデシュの複数の都市でも支援を行った。バングラデシュでは、都市貧困層地域での安全と治安に関する調査・分析により女性に対する暴力が広がっていることが明らかになり、この問題に取り組む活動計画を策定するための調査団を2003年末に派遣した。